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地震に備えて

1 地震とは何か

(1)
地震発生のメカニズム
地球は、自転・公転しているだけでなく、内部は現在でも活動しています。その活動で、内部のマントルが表面に押し出されて冷えるとプレートと呼ばれる岩盤ができます。地球の半径は、約6400kmあり、その表面付近は、1枚の厚さが数10kmもあるプレート10~20枚が重なる状態で覆われています。これらのプレートは、1年に数cmの速度で運動を続けており、継ぎ目ではプレートが生まれたり沈み込んだり、ぶつかったりしています。そして、この運動が地震の主な原因となります。
日本は、太平洋プレート・ユーラシアプレート・フィリピン海プレート・北米プレートという4つものプレートが交差する場所に位置しています。このように、4つものプレートが交差している場所は世界的にも珍しい例といえます。地震は、プレートの境界を中心にして発生しますので、日本で地震が多発するのは当然のことで、実際、日本で発生する地震の数は、世界中で発生する地震の10%を占めるといわれています。
尚、地震には大きく分けて次の二種類があります。
  1. 海溝型地震
    海底のプレートが、陸のプレートと接触すると、海底のプレートの方が重くて強いため、陸のプレートの下に潜り込みます。すると、陸のプレートが引きずられる状態になり、徐々に曲がっていくことになります。この曲がったプレートが限界までくると、元に戻る力が働いて地震が発生します。これを海溝型地震といいます。
    海溝型地震が発生すると、海水も急に持ち上げられることになるため、津波を伴うことがあります。また、海溝型地震は、次に発生するまでの間隔が百年程度と比較的短いということと、マグニチュード(後述)が大きいという特徴があります。
    尚、1923年の関東大地震は海溝型地震で、マグニチュード8程度以上といわれており、折からの強風の影響で大火災が発生したこともあって、旧東京市だけでも66,000人もの命が失われたといわれています。
  2. 直下型地震(内陸型地震)
    海溝型地震がプレート運動による直接的な地震であるのに対して、間接的な地震のことを直下型地震といいます。具体的には、内陸のプレートがぶつかることで活断層がずれたり、プレート内部で地震断層が発生することで起る地震のことです。
    直下型地震は、次に発生するまでの間隔が千年以上と長いということ、マグニチュード(後述)が7程度で海溝型地震より小さいという特徴があります。また、内陸部で発生するため、過去、何度も大きな被害が出ています。
    尚、1995年の阪神大震災は、直下型地震で、マグニチュード7.3でしたが、6,434人もの命が失われました。
(2)
地震の大きさ
地震の大きさを表す単位には、「震度」と「マグニチュード」があります。
  1. 「震度」
    震度は、地震のエネルギーそのものを表すものでなく、揺れを感じた場所の揺れの強さを示す値のことで、気象庁が定めた「気象庁震度階級」によって決められています。

    震度(気象庁震度階級)

    震度0 地震があったことに気づかないが、地震計には記録される。
    震度1 静かにしているときや地震に敏感な人に分かる。
    震度2 大体の人が地震を感じて、戸や電灯が少し揺れる。
    震度3 家が揺れて、地震があったことがはっきりと分かる。
    震度4 家がかなり揺れて、物が倒れることもある。また、歩いていても感じることができる。
    震度5弱 地震の衝撃で窓ガラスが割れたりする。また、人によっては動けなくなる。
    震度5強 ブロック塀が壊れたりする危険があり、車の運転ができなくなる。
    震度6弱 家具が動いたり倒れたりする。また、殆どの人が立っていることができなくなる。
    震度6強 四つんばいでないと動けないくらい揺れ、場所により山崩れや地割れが起きる。
    震度7 家の全壊や半壊が3割以上になり、すさまじい被害が発生する。
  2. 「マグニチュード」
    マグニチュードとは、地震そのもののエネルギー量を示す値のことで、「マグニチュード5.6」などと、小数点付きの値で示されます。
    マグニチュードは、通常、「M」で表示され、Mの値が1大きくなると、そのエネルギーは約30倍大きくなります。また、M7以上の地震は「大地震」、M8以上の地震は「巨大地震」と呼ばれています。
(3)
過去の大地震の例
日本では、近年だけでも多くの大地震が発生しており、多くの人命や家屋だけでなく公共施設などの財産が失われています。2007年9月現在、関東大震災後の84年間で発生したM7以上の大地震は、合計46にも上ります。
次に、皆様のご記憶にある大地震の例を幾つか挙げたいと思います。
尚、新潟県中越大震災と新潟県中越沖地震は、共にM6.8でしたが、その被害の甚大さから、大地震のカテゴリーに含めました。
1923年9月1日 関東大震災(M7.9)
1946年12月21日 南海地震(M8.0)
1952年3月4日 十勝沖地震(M8.2)
1993年1月15日 釧路沖地震(M7.5)
1993年7月12日 北海道南西沖地震(M7.8)
1995年1月17日 阪神大震災(M7.3)
2004年10月23日 新潟県中越大震災(M6.8 震度7)
2007年7月16日 新潟県中越沖地震(M6.8 震度6強)
2008年6月14日 岩手・宮城内陸地震(M7.2 震度6強)
2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(M9.0 震度7)
2016年4月14日 熊本地震 前震(M6.5 震度7)
2016年4月16日 熊本地震 本震(M7.3 震度7)
2018年9月6日 平成30年北海道胆振東部地震(M6.7 震度7)

2 地震の予測

日本では、地震による被害を軽減するため、地震に強い建築物を造る努力が続けられてきました。その結果、大地震に耐えられる建築物を造る技術は非常に発達しており、耐震や免震の技術は、先進国の中でもトップレベルにあります。
一方、古くから課題とされてきた地震の予測については、現在でも困難とされています。
そこで、突然、地震が発生したときに慌てたり後悔しないよう、準備をしておくことが大切です。

3 地震への備え

(1)
家具の転倒・落下防止をしておく
  1. 家具・テレビなどを「転倒防止金具」で固定して、転倒し難くする。
  2. 本棚や茶箪笥などに物を収納する際、重いものは下の方に収納して重心を低く保つ。
  3. 棚や箪笥などの高いところに物を置かない。
(2)
怪我の防止対策をしておく
  1. 食器棚・サイドボードなどのガラスは、地震で割れることがあるので、「ガラス飛散防止フィルム」を貼る。
  2. 割れたガラスなどで足に怪我をしないよう、スリッパやスニーカーなどを用意しておく。
(3)
消火の備えをしておく
  1. 火災の発生に備えて、消火器を用意しておく。
  2. 風呂の水のくみ置きをしておく習慣をつける。
(4)
非常用の懐中電灯を用意しておく
懐中電灯には、大きく分けて二種類あります。
  1. 先を照らすタイプの電灯
  2. ランプ機能を備えた電灯

阪神大震災の被災者のレポートを読んでいると、災害のとき、①は意外と役に立たず、②の方が圧倒的に役に立ったという意見を見かけます。その理由は、実際に停電になってみると、部屋の中でも外でも、周りを明るくしてくれるのは②の方で、誰かと話したりするときに、部屋全体が明るくなるので気分も楽になるのだそうです。また、物を探すときでも②で充分との意見が多く見られます。
そこで、当社は、②の「ランプの機能を備えた電灯」を備えることをお勧めしています。

(5)
「ろうそく」の使用は非常に危険です
災害時は、ガス漏れによる爆発の危険が大きいので、火を使うことは厳禁です。また、「ろうそく」を使用すると、余震で「ろうそく」が倒れて火災を起こす場合もあるので使用は避けた方が良いようです。
(6)
写真やデータの保存
阪神大震災の被災者の方達が語られていることの一つに、「思い出の写真」を失ったことが挙げられています。
「思い出の写真」を失ったショックは意外と大きく、被災者の方が精神的に立ち直る過程で大きな障害の一つになることがあるようです。また、パソコンに取り込んでおいたデータが失われる損失も計り知れません。
そこで、「思い出の写真」や「パソコンのデータ」を失わないように、普段から、定期的にDVDなどに保存して持ち出せるようにしておくと良いようです。
(7)
「テレビ機能付き携帯電話」を持つ
災害時の情報源といえばラジオを思い浮かべる方が多いと思いますが、ラジオから得られる情報は意外に限られているだけでなく遅いとの指摘もあります。一方、テレビから得られる情報は、早くて豊富なだけでなく、何といっても目で見られるというメリットがあります。
そこで、当社では、携帯電話を買われる際、「テレビ機能付き携帯電話」をお勧めしています。
(8)
避難場所を決めておく
自宅や会社の近くには、必ず、避難場所があります。
皆様も経験があると思いますが、大災害のときは回線が混みあうため携帯電話で通話することは事実上不可能です。
そこで、予め、家族・会社・友人などと避難場所を決めておきましょう。

4 地震がきたら

(1)
自宅にいるとき
  1. ブレーカーを下ろす
    ブレーカーを下ろしておかないと、電気が回復したとき、電線の破損箇所から火災が発生することがありますので非常に危険です。
  2. ガスの元栓を締める
    ガス漏れが、爆発や火災の原因になりますので、必ず元栓を締めて下さい。
  3. 玄関ドアの鍵を開けて、鍵の突起を出す
    地震の影響で、玄関ドアが開かなくなることがありますので、玄関ドアを開けて鍵の突起を出して開かなくなることを防いで下さい。
(2)
外にいるとき
  1. ビル街にいる場合
    ビルのガラスが割れて、大量に落ちてくることが予想されますので、なるべく早くビルから離れるか、丈夫そうなビルに避難して下さい。
  2. 普段から、安全な場所の目安をつけておく
    災害のときに安全な場所を探すのは、至難の業です。普段から、通勤・通学の途中などに、安全そうな場所の目安をつけておくと、咄嗟のときに役立ちます。
  3. 地下鉄に乗っているとき
    地下鉄の線路は、電線などの危険物が多いので、外に出ないことが重要です。

5 家を建てるときは、充分な耐震性を

(1)
建物倒壊に起因する犠牲者が95%以上を占める
阪神大震災で亡くなった方の死亡推定時刻のデータを検証すると、96.3%の方が即死であることが判ります。
死因は、最も多いのが窒息死で、圧死・頭部損傷などと続きます。これらは、「建物の倒壊」と「家具などの下敷き」になったことが原因であると考えられています。このうち、83.3%は建物の倒壊によるもので、12.2%は火災による焼死や全身火傷です(残る0.8%はその他の理由)。つまり、殆どの方が、建物や家具の下敷きになって即死したか、下敷きになって動けない状況で火災に巻き込まれて死亡した訳です。
(2)
耐震と火災
  1. 耐震について
    上述のとおり、地震で亡くなるケースは、その殆どが、「建物の倒壊」と「家具などの下敷き」になったことが原因です。阪神大震災の教訓により、建物の耐震補強工事の必要性が認識され、2006年、国は「改正耐震改修促進法」を施行しました。しかし、1980年に施行された「新耐震基準」以前の建物は、中規模の地震でも被害を受ける恐れがあるため、耐震補強工事が必要といわれています。
    思い当たる方は、役所の建築指導課や都道府県の建築士事務所協会にご相談されることをお勧めします。住宅の耐震診断の費用は、10~15万円程度で、役所が全額負担したり一部負担したりする場合もあります。また、耐震補強の費用は、補強レベルによって幅がありますが50~200万円程度で可能と思われます。詳しいことは、市区町村にご確認下さい。
  2. 何故、火災が多発したか
    阪神大震災が起こった時間は朝の5時46分で、殆どの家庭が就寝中で、火が使われていませんでした。
    ところが、一軒でも火災が発生すると、周りの建物も倒壊しているために道路が塞がれて消防車が入ってくることができず、隣の家への延焼を繰り返すなどして大火災に発展して行ったのです。
(3)
地震に強い建物の形
建物の形は、できるだけシンプルな形が理想的です。
  1. 地震に弱い形 1階部分が駐車場などになっており、壁面が少ない建物
    傾斜地などの不整形地に建つ建物
  2. 地震に強い形 シンプルな形の建物

    家を建てる場合、なるべく平坦な土地を選び、シンプルな形の家を建築することが理想です。また、地盤が弱い地域に土地を購入する場合、地盤改良などを施したうえで建築することが重要です。
    近年、多くの、超高層マンションが建築されて人気を呼んでいますが、超高層マンションの場合、上層階では相当な揺れが予想され、1階が震度5であれば上層階は震度6~7にも達する可能性があります。超高層マンションは、倒壊し難いといわれていますが、家具や大型テレビが飛んできて凶器になる可能性が高いことは疑いの余地がありません。従って、できるだけ背の低い家具を置いて金具で固定するか内蔵型の家具を使い、大型テレビは、低い位置に置いて固定することが大切です。

(4)
当社が採用する家は
阪神大震災や新潟県中越大地震の被災者の例を検証すると、地震で家などを失った方に対する国家の補償は微々たるもので、新しい家を建てることは非常に大変なことです。特に、住宅ローンが残っている方は、壊れた家のローンだけでなく、新しい家のローンも支払うことになります。
阪神大震災のときに被災した家を検証した結果、「倒壊した家」と「軽微な被害で住んだ家」に大きく分かれました。
具体的には、積水ハウスや住友不動産などのツーバイフォー工法で建てた家は、外壁の一部に被害があった程度で済んでいたのです。
こうした結果を受けて、当社では、「健康的な家」や「バリアフリー」というテーマのほか「倒壊し難い家」・「燃え難い家」という点にも重点を置き、積水ハウスや住友不動産などの大手ハウスメーカーの家を採用しています。
皆様の夢や幸せが、地震などの災害で壊されないように…。