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「欧州企業の価値と責任調査団」に参加して
株式会社システムサービス 代表取締役社長 武 井   仁
訪問期間:2003.09.21〜09.29/訪問先:パリ・ブラッセル・ミラノ
1 企業の価値と責任について
(1)

「企業の価値と責任」について勉強すると、トリプルボトムライン(TBL : Triple Bottom Line)というキーワードが出てくる。TBLとは「企業は財務的側面だけでなく、環境的側面及び社会的側面を加えた3つの側面全てに責任を負うべきである」という考え方である。

(2)

日本では、財務的側面と環境的側面について、法整備及び企業認識の点で議論が進んでいるが、社会的側面(CSR : Corporate Social Responsibility)については、これらの議論が始まったばかりである。
過去、リーディングカンパニーたる大企業が繰り返し不祥事を起こし、社会から非難されても、「事業を進めて行くために以前から行われていたことで、倫理や法律に多少反しても止むを得ない」という大企業の本音が見え隠れする。また、マスメディアや人々にも強い関心があったとは言えなかった。
ところが、最近では、市場が企業評価を行う際、収益性や成長性だけでなく社会性も含めて総合的に評価して投資対象を選ぶという「社会的責任投資(SRI : Social Responsible Investment)」がEU諸国で急速に広まっており、企業がCSRに取組む姿勢が市場から問われる様になって来たのである。

2 フランス、イタリアそしてEU委員会
(1) 米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)について

米国企業改革法は、企業の透明性(Transparency)及び説明責任(Accountability)を高めることや、株主の利益保護という側面では効果的であるものの、異なる習慣や文化を持つ企業への影響を充分考慮しているとは言えない。そのため、米国証券取引委員会(SEC)等に対し、各国の習慣や文化に適合させるための「適当な修正や適用除外」を行うよう申入れることが大切である、との共通認識があった。

(2) CSRについて

フランスでは複数のNGOから「CSRの格付け」の本が複数出版されており、この点多少の驚きを感じた。これらの本の内容が信頼に足るものかどうかは別として、フランス人のCSRに対する関心の高さを示す一例かと思う。
訪問先で共通して主張されていたことは、「CSRは世界的に議論して行くべき問題で、各国は議論に参加して意見を述べ、自国の習慣や文化に適合したものを模索して行くべきである。また、グローバルスタンダードという名の米国基準を米国から一方的に押付けられない様にすることが大切である」ということで、EU諸国は、米国基準に対して一定の評価をしているものの強い反発も感じられた。

3 終わりに

21世紀、メーカーが市場からCSRを遵守して行くことを求められることは必至であり、結果として、サプライチェーンたる企業にもCSRを求められることが予想される。サプライチェーンが世界規模になっている現状を考慮すると、この問題は大企業だけの問題に止まらず、中小企業に至るまで大きな影響を及ぼすことになると考えるべきである。したがって、日本企業もCSRに真摯に取組んで行かないと、いかに良い製品を造り出し、良いサービスを提供しようとも、大きな企業リスクになる可能性がある。一方で、CSRに取組み、それを世界に、より正確にアピールして行くことで、日本企業の価値が今まで以上に世界から高く評価され、「ブランド力と信用力」を高めることに繋がり、結果として「持続可能な発展(SD:Sustainable Development)」への道が開けると思うのである。