レポート

 

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「欧州都市環境整備調査団」に参加して
株式会社システムサービス 代表取締役社長 武 井   仁
訪問期間:2001.03.04〜03.14/訪問先:ストックホルム・ヨーテボリ・ワルシャワ・プラハ
1 ストックホルムとヨーテボリの都市環境整備について

ストックホルム市は、民間から土地を継続的に買収してきた歴史が有り、現在、ストックホルム市内の2/3もの土地を市が所有している。そのため、他の先進国と比較すると、非常に都市環境の整備をし易い環境が整っている。
ヨーテボリでも、都市環境整備に対する人々の理解と努力が見られ、街の中心部以外でも整然とした街並みが形成されていた。
前提条件や特殊性が日本と異なるため、都市環境整備に関して日本と比較することは現実的でないと思う。そこで、視察した施設などの中から、次の3点について述べてみたい。

(1) 公共交通機関等の整備について

これらは、官民双方の努力次第で、日本でも実現可能なことである。また、歩道に接する建物に手摺りが設けられている点は、日本でも是非とも取り入れたいことである。

バスの乗降口が、身障者や老人が乗降する際、路面近くまで下がること
路面電車の3両に1両は身障者用であること(ヨーテボリの場合)
歩道・自転車専用道路・車道を分け、人と車輛の動線に一貫性が有ること
(2) 下水処理について

ストックホルムの街を流れる川や湖は、水が清浄で遊泳や釣りを楽しめるとのことである。かつて、ストックホルムでも他の先進国と同様、経済発展の過程で水質汚染に苦しんだ時期があった。しかし、官民一体となって下水処理の問題を解決するなどして、今日の清浄な水を取り戻したとのことであった。
「清浄な水と空気を取り戻す」というテーマは、政策と努力次第で実現できることを実感出来た。

(3) ゴミ処理について

スウェーデンのゴミ処理に対する意識と現実は、日本のレベルと同程度で、むしろ、若干日本の方が進んでいるという印象であった。
ダイオキシン、産業廃棄物処理、核燃料処理問題等、未だ、世界的に問題は山積しているため、今後も先進諸国が主体となって研究を重ね、世界の国々に情報を提供し協調を求めて行くべきである。

2 ワルシャワの都市環境整備について

ポーランドは、過去、諸外国から何度も侵略されている。また、第2次世界大戦の際は、ドイツ軍に首都ワルシャワの街が90%も壊滅させられただけでなく、国内にあった5,000ヶ所もの収容所で、多くのユダヤ人が大量に虐殺されるという人類史上稀にみる悲惨な歴史を背負った国である。更に、第2次世界大戦終結から1989年迄の間、旧ソ連の影響を強く受けることとなった。
この様な状況にありながら、ポーランドの人々は、ドイツ軍に壊滅されたワルシャワの街を、ドイツの賠償を受けること無く、自らの力で復元したのである。
私は、ポーランドの人々が支払わされた過去の犠牲を思うと胸が痛くなるばかりで、美しい旧市街地を散策しても心が晴れることが無かった。
1989年以降、晴れて、ポーランドは自由主義国となったが、過去に支払わされた犠牲の代償はあまりにも大きく、未だ、都市環境整備に労力を払える状況では無い。
私は、ポーランドの人達から様々な話しを聞く機会を持つことができたことが嬉しい。そして、心から、ポーランドの発展とポーランドの人々の幸福を望むものである。

3 プラハの都市環境整備について

1989年迄、チェコも社会主義国でポーランドと同様、決して豊かな国ではなかった。ただ、ポーランドと比較すると戦争被害が無かった分だけ都市環境整備が進んでいるように感じた。
チェコの人々が「古い建築物」だけでなく「美しい街並み」を大切に保存している姿勢は、非常に参考になったが、都市環境整備について、未だ、現実的な議論を行える状況にあるとは言えないと思う。<
しかしながら、チェコは、ヨーロッパの中心部に位置するため立地に恵まれており、多くの外国企業が進出しつつある。現在、その影響で緩やかに経済発展を遂げており、将来、飛躍的に経済が発展する可能性を秘めている。従って、チェコの都市環境整備は、これから徐々に進むことになると思われる。
私は、チェコの人々が、美しい街並みや自然環境を破壊することなく経済発展を遂げることを願いたい。