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少子高齢化に伴い顕在化する問題 その1:共有名義の不動産を処分したいが…

コラム 2007/03/30

1 なぜ共有不動産のご相談が増えているのか

相続が発生した場合の遺産分割協議において、不動産の相続はとりあえず共有名義にするのが平等と考える方は、意外と多くいらっしゃいます。
しかし、共有名義の不動産を持っていることで、多くの方が悩みを抱えていることも事実です。
兄弟姉妹間で共有することになった不動産を例にとると、相続から十年も経つと、それぞれの共有者は時間の経過とともに徐々に高齢化し、やがて一人・二人と相続を迎えることとなります。
こうして、共有者の相続発生などで次世代へ世代交代が進むと、さらに共有者が増えて利害調整が困難になります。

2 共有名義の不動産にはこんな悩みが…

共有名義の不動産で、共有する悩みは主に次の三点です。

(1)
共有名義の不動産を処分する場合、他の共有者の同意が必要なのに、共有者間で意見や利害が対立する場合、調整が困難である。
(2)
共有持分だけを第三者に処分することが事実上不可能なため、共有持分を現金化できない。
(3)
共有建物の大きな修繕は、共有者の持分の過半数の同意が必要であり、面倒なうえ、建替え・取壊しとなると、共有者全員の同意が必要となり、事実上困難である。
これらの問題は、特に、都心部の地主やビルオーナーの方にとって深刻な悩みに発展することがあります。
なぜなら、相続の対象となる不動産の相続税評価額が高くなるため、相続税が高額となる場合が多いからです。
そのため、共有持分の相続人は、納税資金を捻出するために持分を処分したいと考えますが、他の共有者との調整がうまくいかず、納税資金を準備できないという大きな問題を抱えることになります。

3 共有者の関係が良好な間に対応を

共有不動産を所有している場合の対処方法は、おおむね次の三点が考えられます。

(1)
買取
資金的に余裕のある共有者が、他の共有者から持分を買い取る。
(2)
売却
共有不動産を売却し、現金で精算する。
(3)
交換
共有不動産が複数ある場合、「持分の交換」を活用して単独名義にする。

共有不動産の対応は、「できるだけ早く対策を検討すること」と「共有者の関係が良好な間に実行すること」が重要です。